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頭の痛い時の薬を整理しましょう
2024.11.06こんばんは。院長のKです。
季節の変わり目は片頭痛だけでなく群発頭痛も非常に多く、辛い思いをされている方も多いのでは無いでしょうか?
中等度以上の片頭痛発作や群発頭痛には鎮痛剤では効果が低く、トリプタンという特殊なお薬が必要です。トリプタンには5種類あり、剤形の違いを含めると9種類となります。
それぞれに特徴があり、利点、欠点を考慮しながら使用します。
また、トリプタンが効きにくかったり、血管収縮作用が辛い人、血管収縮作用が違う血管障害を引き起こす可能性がある人へはレイボーという商品名であるラスミジタンを使用します。
大切なのは、特徴を知り、飲むタイミングと飲み方なのです!外来ではそれを徹底的に覚えてもらっています。
【5種類のトリプタン製剤+ラスミジタンとそれぞれの特徴】
〇イミグラン(スマトリプタンコハク酸塩)
内服・点鼻・自己注射の3種類のラインナップがあります。内服は約30分、点鼻は約15分、自己注射は約5~10分で効果が出るとされていますが、2時間程度で薬の効果が減弱します。妊娠中や授乳中にも内服できるお薬です。
〇マクサルト(リザトリプタン安息香酸塩錠)
口腔内で溶けるため水なしで内服できる薬で、イミグランと同様、効き目が早く、2時間程度で効果が減弱します。効き目の速さは最速で減弱する時間も早いですが、かといって再発が多いわけではありません。
〇レルパックス(エレトリプタン臭化水素酸塩)
内服です。効き目が早く、作用時間も長めです(3時間程度)。副作用が比較的少ないとされます。授乳中にも内服できるお薬です。
〇ゾーミッグ(ゾルミトリプタン口腔内速溶錠)
口腔内で溶けるため水なしで内服できる薬です。効き目はゆっくりで、作用時間は長めです(3時間程度)。中枢移行性が高く、より脳の奥で作用します。
〇アマージ(ナラトリプタン塩酸塩)
内服です。効き目はゆっくりですが、他の薬に比べ圧倒的に作用時間が長く続きます(半減期5時間程度)。頭痛時間が長い月経中の片頭痛に用いると効果的なことがあります。
〇レイボー(ラスミジタンコハク酸塩)
2022年に登場したのがレイボー(ラスミジタンコハク酸塩)です。この薬はトリプタン製剤とは違う作用で片頭痛を抑えます。
トリプタン製剤はセロトニン 1B 受容体に作用してCGRPの放出を抑えるのに対して、こちらは セロトニン 1F 受容体という部分に働く、「ジタン系片頭痛治療薬」という薬なのです。血管収縮作用が無いため締め付け感のような苦しい感覚が有りません。そのためトリプタンが苦手な人や、心疾患や脳血管障害などの持病を持っている人、血圧が高い人、ご高齢者などに向いています。また、レイボーは服用のタイミングを選ばず効果が期待できます。トリプタン製剤がタイミングよく使えなかった人に向いています。
分子量が小さく血液脳関門を通過するため、脳の奥深くに作用します。その影響で若干の眠気と浮動性めまいを感じる場合があります。
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