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認知症検査(MRI:VSRAD)について
2025.02.21こんにちは、かねなか脳神経外科画像診断部、放射線技師のiです。
今回はVSRAD(早期アルツハイマー型認知症診断支援システム)についてお話させていただきます。
近年、ベータアミロイドタンパクによる海馬の萎縮を抑える新薬、レケンビとケサンラが発売されました。当院でも適応ある患者様には積極的に投与しています。
認知症とは、脳の病気や障害といったさまざまな原因によって認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態のことです。日本における65歳以上の認知症の人数は、2012年は462万人(高齢者の約7人に1人)でしたが、2025年には約650~700万人(高齢者の約5人に1人)に増加すると予測されています。注1
高齢化社会の日本において、認知症に向けた取り組みは今後ますます重要になってきます。
認知症にはいくつか種類がありますが、認知症の中で最も割合が多いのがアルツハイマー型認知症です。全体の約70%を占めるアルツハイマー型認知症は、脳神経の変性により脳の一部が萎縮する過程で起こるとされています。
VSRAD(ブイエスラド)とはMRIの検査データを用いて、アルツハイマー型認知症の進行度合いを調べる診断支援ソフトです。記憶に関わる部位である海馬、海馬傍回、扁桃の萎縮度を調べられます。これらの部位の萎縮度を調べることでアルツハイマー型認知症の可能性を数値化します。
萎縮の強さは数字で表され、萎縮度が0から1の場合は脳の萎縮はほとんど見られず、1から2の場合は萎縮がややみられ、2から3の場合はかなりの萎縮がみられる状態です。萎縮度が3を超える場合は、脳に強い萎縮がみられる状態で、アルツハイマー型認知症の可能性が高いと考えられます。
VSRADの注意点
・VSRADの画像検査のみでアルツハイマー型認知症と判断することはできません。脳梗塞後や硬膜下血腫などでも認知症状は起こります(しかしながらこれらの認知症状をきたす疾患を否定するためにも画像検査は必要です)。
このVSRADはあくまでも診断支援であり、臨床症状(症状や神経心理学的検査)と合わせて医師の総合的な診断が必須となります。
・心臓ペースメーカ等体内に金属、機械を入れられている方は、VSRADに必要なMRI検査が受けられない場合があります。
・撮影時間が20分ほどかかります。検査中に動いてしまうと正確な解析結果が出ない可能性があります。
以上、今回はVSRADのお話でした。
気になる症状やご不安なことがございましたら、どうぞスタッフまでご相談ください。
注1(出典:厚生労働省HP 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルスケア「認知症」)
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