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抗CGRP注射製剤
2022.07.02こんばんは。院長のKです。
7月に入ったばかりですが、毎日真夏の日々で熱中症には本当に注意が必要です。
暑い日は血管が拡張して頭痛がします。片頭痛を持っている人は要注意なのですが、症状は似ていても全く病態は異なります。そういう意味で要注意です。
なぜならば、本日の頭痛外来でいらした再診の患者さんが「ラスミジタンであるレイボーが効かない、いつものトリプタンが少しだけ効いた」と言うのです。
この患者さんは結果的に片頭痛発作では無かったのです。暑さゆえに出た頭痛でした。
血管が拡張して頭痛が出る点は、熱中症よる頭痛も片頭痛による頭痛も似ているのかもしれません。ただ、病態は全く異なり、片頭痛はカルシトニン遺伝子様関連タンパク質(CGRP)という痛みタンパク質が血管を拡張させ痛みを誘発させる頭痛です。
新規片頭痛急性期治療薬であるレイボー®︎は血管収縮作用が無いことが最大の特徴!トリプタンの血管収縮作用を少し有するため血管拡張する熱中症の頭痛にも効果があった?のかもしれません。
ただ、いずれにしても間違った使い方ですね。だって、今回は片頭痛では無いのですから。トリプタンは血管収縮作用も一部有しますが、基本的にはイメージとして痛みタンパクのCGRPを放出する蛇口を閉める作用がトリプタンです。それにより片頭痛発作が抑制され痛みが消失されるのです。そのため、目の前の痛みを拭う鎮痛剤(ロキソニン®︎とかカロナール®︎とかSG顆粒®︎とか)と異なります。
トリプタンを使用するのは「タイミング」命です。その「タイミング」は予兆前兆が終わる頭痛期のスタート時。この「タイミング」こそが、絶対的効力を持つ片頭痛の治療であるトリプタンの使用を難しくしており、トリプタン→効かない→トリプタン→効かない→トリプタンという「薬物乱用生頭痛」が生まれてしまったのも事実です。
トリプタンの出現が20年前。この薬剤の出現により片頭痛は無くなると大いに期待されました。待望の薬でした。しかし、この内服のタイミングの困難さが薬物乱用性頭痛を生み、逆に片頭痛で苦しむ人は無くなるどころか今なを増え続けているというのが現状です。
そこに登場したのが、20年ぶりの救世主。抗CGRP製剤です。片頭痛をメカニカル的に根本から発生させない予防注射です。
昨年4月より使用可能になった抗CGRP製剤。当院では先月までに165名の患者様に使用しました。目的は3つ。
①生活支障度を下げること
②頭痛を無くして「薬物乱用生頭痛」を改善させること
③気圧や天気で頭痛が襲ってくるという脳裏に焼き付いたイメージを取り除くことです。それにより「もしかしたら今日頭痛くるかも!?」の段階でトリプタンや鎮痛剤を内服してしまう心理的習慣を改善させます。
今、抗CGRP製剤は「エムガルティ®︎」「アジョビ®︎」「アイモビーク®︎」の3種から選べるマルチチョイス時代です。
エムガルティ®︎とアジョビ®︎は痛みタンパク質であるCGRPをキャプチャーし中和ささてしまうイメージです。アイモビーク®︎はCGRPの受け皿に蓋をするイメージです。
簡単に言えば、鍵🔑と鍵穴🔐の関係にある両者どちらかに作用しドアを開けられなくさせてしまうようなものです。
本人の日常生活、行動つまりはライフスタイルをふまえ、ゴールを定めて、その目標にあった製剤を使用することが望まれます。
当院での使用実績は以下に記載します。
迷っている方、値段が高いですし、迷ってください。そして細かいことでも不明点はご相談ください。詳しく説明致します。当院ではかなりの使用症例がありますが、全く強要してません。みなさん、迷った結果、自宅に持ち帰り家族と相談して決めて使用しています。
そして大事なのは極力ゴール設定(やめるタイミング)なども共有して行っていることです。
開始は比較的シンプル、やめ時が1番悩みます。入り口(開始)出口(休薬)の戦略は患者様と一緒に考えていきます。
片頭痛の予防は内服での予防も、この注射での予防もどちらにおいても入り口出口の戦略を明確に患者さんにお伝えしていく事が必要です。
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