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内頸動脈解離
2023.02.18こんばんは。院長のkです。
本日は、日本では珍しい、いや、アジアでは珍しい内頸動脈解離をご紹介します。
まず、病気を理解する上で、脳の血管のお話しです。
脳は一般的に4本の太い動脈からスタートしており、それが先々に(末梢へ)いくにつれ幾つもに分岐していきます。
この4本は、右に2本、左に2本です。
脳の前から横、てっぺんにかけて流れるのが「内頸動脈」で、全体の70-80%を灌流します。
残りの20-30%のエリアは「椎骨動脈-脳底動脈」という後方循環の灌流となります。この、椎骨動脈は首の背骨の中を左右それぞれ走行しており、頭の中で合流し、脳底動脈となり、一本の脳底動脈が脳へと流れます。
日本人に多いのは、この椎骨動脈解離と言って、後ろ(首の方)の血管が解離する事で、後頭部の頭痛が生じます。
カイロプラクティック、激しい首の動かし、マッサージによる刺激などで誘発されます。
症状が頭痛だけの場合も有りますが、時に脳梗塞(延髄梗塞=脳幹梗塞、小脳梗塞など)、くも膜下出血の事も多いです。
脳梗塞では主に延髄梗塞となり、温痛覚や飲み込みの障害、ふらつきなどの小脳失調がでるため、厄介です。
くも膜下出血は死亡率が極めて高く、致死的な病気となります。
幸いにも頭痛だけの人は、2-3ヶ月で自然治癒する事が望めますが、その間に脳梗塞やくも膜下出血を発症する事も有るので厳重注意です。
さて、前置きが長くなりましたが、今日の本題は珍しい内頸動脈解離です。脳の70-80%を流れる血管が解離(血管の壁が剥がれる)してしまうので、脳梗塞に陥ると寝たきり状態に成りかねない病気です。内頸動脈は皮膚の表面から触れる事ができます。首の位置で喉の横の方に指をずらすと、ドクンドクンとするのが内頸動脈です。解離を起こすと、その部分の痛みが頭に放散し、側頭部痛として感じたり、顔面が突っ張った様な、引っ張られる様な異常感覚を訴える場合が有ります。
一般的には、2-3ヶ月で自然治癒します。
病気の血管が血管だけに(脳の大元の血管)、外来で出くわすと冷や冷やもんです。
この方は50代の方です。幸いにして脳梗塞には至っておりません。
向かって右に見えるのが左の血管(左右逆)。2か所で膨れてるのが分かる。
根元が解離してしまい、左側の内頸動脈(向かって右に見える方)が、反対の内頸動脈に比べて薄く、血流が悪いことが分かる。
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