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小児頭部外傷の恐怖
2024.08.25こんばんは。院長のkです。
今は出張で全国片頭痛研究会を参加するため福岡に来ています。
午後の外来を足早に切り上げ、日没に福岡に滑り込みました。
本日のテーマは頭痛ではなく、頭部外傷。それも小児。
時に子供の頭部外傷は苦労します。何を苦労するか!?、、大学病院をはじめ、拠点病院と言われる総合病院ですら小児は診れないと受け入れてくれないのです。かかりつけの小児科は比較的診てくれますが、外傷のエネルギーが大きいと脳神経外科に行くように言われます。年齢が小さければ小さいほど、何軒の病院電話しても断られるケースは珍しく有りません。
当院は小児は絶対断りません。なぜなら、近隣に断られまくって焦る親の気持ちが分かるからです。子を持つ親の気持ちが、子を持つ自分に当てはまると断れないのです。現実的には小児の頭部外傷なんて、殆どが軽症です。例え吐いていようと、大抵は一時的な脳震盪で大した事有りません。点滴して1-2時間すれば良くなります。
画像検査はケースバイケース。頭部CTは医療被曝とはいえ多少なりとも放射線被爆があるため、適応は慎重になります。検査しないケースが多いと思います。
しかし、それが後悔に繋がることも、、、。
7歳の小児。自転車で転倒し側頭部打撲。少しボーとするのでCT行くも、嫌がって暴れて逃げ出す始末。
これだけ元気なら経過見ましょう。バイバイして帰宅。
翌日になっても食欲が無いので再診に来ました。検査してみるも大騒ぎ。
まあ、無理しなくてもと思いながらも、両親の強い希望も有り、親とスタッフで押さえつけてなんとか撮影。
えっ!?!?、、。結果を見て凍りつきました。
急性硬膜外血腫。手術適応ある。
急性硬膜外血腫は意識清明期があり最初は意識が良くてもどんどん悪化していく外傷性出血です。凸レンズ状に脳を圧迫していきます。
即座に救急搬送。しかしこれまたどこも受け入れしてくれない。小児がダメ、麻酔がダメ、脳外科がダメ、などなど様々な理由で小児外傷は断られます。途方にくれたので、友人で同期の脳外科医に直電。何10キロも離れた病院で受け入れて貰いました。
検査を拒絶するほど元気だから大丈夫だろう。私の長年の経験が覆されました。じゃあ小児の小さい子に全例検査しなきゃならないのか?
診察する方としては検査した方が結果が明確で安心です。しかしなぁと、、。何千件と診ているにも関わらず、外傷の診察が非常に怖くなってしまいました。
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